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峰歯科ブログ

歯を抜かない矯正の方が、技術が高いの?

執筆:峰 啓介

  • 矯正情報ブログ
歯を抜かない矯正の方が、技術が高いの?

矯正歯科治療の相談で、よく話題になるのが「抜歯」と「非抜歯」です。健康な歯は、できれば抜きたくないものです。そのため、「歯を抜かずに矯正できる先生の方が、技術が高いのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、実際にはそうではありません。一般的には、歯を抜いて行う矯正治療の方が、高度な技術を必要とします。では、なぜわざわざ歯を抜くのでしょうか?

歯を並べるには、スペースが必要です

これは矯正歯科治療の基本的な考え方です。
例えば、部屋に家具を並べることを想像してみてください。家具を買ってきたものの、寸法を間違えてしまった。部屋の広さに対して家具が大きすぎる。そんなとき、どれだけ家具の配置を工夫しても、どうしても入りきらないことがあります。どれだけ腕の良いインテリアコーディネーターでも、物理的に入らないものは入りません。

歯並びも、基本的には同じです。歯をきれいに並べるためには、それだけのスペースが必要になります。スペースが足りなければ、どこかで確保しなければなりません。

ただし、口の中は部屋よりも融通が利きます

ここが矯正歯科治療の面白いところです。部屋の壁は簡単には動かせませんが、歯はある程度動かすことができます。歯列を広げたり、奥歯を後ろへ動かしたり、前歯の位置を調整したり。歯と歯の間を少し削ってスペースを作る方法もあります。

つまり、家具を並べる部屋よりは、スペースの調整に融通が利くわけです。そして、どこまで抜歯せずに対応できるのかを判断し、実際に治療するためには、知識も技術も必要です。

ただし、どこまでも広げられるわけではありません。歯を動かせる範囲には限界があります。無理に広げたり、前歯を前に出しすぎたりすれば、歯並びは整っても、噛み合わせや口元に問題が生じることがあります。

実は、抜歯矯正の方が技術的には難しい

では、抜歯すれば簡単になるのでしょうか? 実は、そうではありません。

抜歯をすればスペースはできますが、そのスペースを適切に閉じながら、上下の歯を正しい位置に動かしていく必要があります。前歯をどれだけ後ろに下げるのか、奥歯をどこまで動かすのか、歯の傾きや噛み合わせをどう整えるのか。考えなければならないことが増えます。

特に、抜歯によってできたスペースを利用して歯を計画通りに動かすには、歯に加わる力を細かくコントロールする技術が必要です。そのため、一般的には非抜歯矯正よりも抜歯矯正の方が技術的な難易度は高くなります。歯を抜かずに治療できるから技術が高い、というわけではないのです。

どれだけ技術があっても、魔法は使えません

もちろん、できるだけ歯を抜かずに治療しようと考えることは大切です。
私も、抜かずにきちんと治療できるのであれば、わざわざ健康な歯を抜く必要はないと思っています。

しかし、何でもかんでも非抜歯で治療しようとすると、話は変わります。
先ほどの家具の話と同じで、どう考えてもスペースが足りないのに、すべての家具を部屋に収めようとする。これは、いくら技術があっても不可能です。必要なのは技術ではなく、魔法になってしまいます。
矯正歯科治療でも同じことが言えます。技術が高ければ、どんな歯並びでも抜かずに治せるというものではありません。

大切なのは、抜歯か非抜歯かを正しく判断すること

矯正歯科治療で重要なのは、抜歯しないことでも、抜歯することでもありません。その患者さんの歯並びや噛み合わせ、口元の状態を正しく診断することです。そして、どのような仕上がりを目指すのか。ここも非常に重要です。

同じ患者さんでも、「多少前歯が出てもいいので、歯を抜きたくない」という場合と、「口元が出ている印象もしっかり下げたい」という場合では、選択する治療方針が変わることがあります。

非抜歯でも十分に治療できるのか、抜歯した方が希望する仕上がりになるのか。それぞれのメリットとデメリットを説明し、患者さんと相談しながら決めることが大切です。この考え方については、「歯を抜きたくない」は正しいのか?でも詳しくお話ししています。

「抜かない矯正」を売りにしているから上手とは限りません

健康な歯を抜かずに済むのであれば、それは良いことです。
ただし、歯を抜かないこと自体を治療の目的にしてしまうのは違うと思います。大切なのは、歯を抜かずに治療した結果、どのような歯並びや噛み合わせになるのかということです。マウスピース矯正だから歯を抜かずに済むとは限らないのも、同じ理由です。

抜かずにきれいに治せるなら、それで良い。抜歯が必要な理由があるなら、その理由をきちんと説明する。
そして、患者さんが納得したうえで治療方針を決める。本当に大切なのは、抜歯を避ける技術だけではなく、抜歯と非抜歯を適切に使い分ける診断力と、それを実現する技術です。矯正歯科治療を検討されている方は、「抜くか、抜かないか」だけで歯科医院を選ぶのではなく、なぜその治療方針になるのか、ぜひ説明を聞いてみてください。

峰歯科・矯正歯科クリニックでの症例:上の左右1本ずつを抜歯した40歳女性

実際に抜歯を行った症例をご紹介します。
患者さんは40歳の女性で、上下の前歯がでこぼこ(叢生)しており、一見すると分かりにくいものの、並べてしまうと出っ歯になってしまう状態でもありました。

そこで、上の左右1本ずつを抜歯してスペースを作り、ブラケット装置で上の前歯を後ろに下げる治療を行いました。左上は、すでに神経を取ってある前歯を抜歯する歯として選んでいます。仕上がりは、前歯を抜いたとは思えない自然な見た目になっています。写真を含む詳しい内容は、症例紹介のページをご覧ください。

費用はおおよそ80万円から100万円くらいです。リスクや副作用として、上の前歯は下がりますが、患者さんが想像されているところまで必ずいくとは断言できません。上の隙間が少し残ること、治療期間が長引くこと、歯根が短くなること、歯肉が退縮することがあります。また、治療中に歯磨きを怠ると虫歯になりやすくなり、治療後に保定装置を怠ると後戻りします。

抜歯・非抜歯のご相談は、伊賀市の矯正歯科・峰歯科・矯正歯科クリニックへ

伊賀市の歯医者、峰歯科・矯正歯科クリニックでは、矯正歯科で抜歯・非抜歯それぞれの選択肢について、患者さんの希望を伺いながらご説明しています。院長は日本矯正歯科学会の認定医で、患者さんの同意なく矯正歯科治療のために歯を抜くことはありません。

抜かずに治せるのか、抜いた方が良いのか、気になる方はお気軽に矯正相談にお越しください。

→矯正相談の予約はこちら

峰 啓介

[著者] 峰 啓介

三代目 院長 歯科医師 [所属] 峰歯科・矯正歯科クリニック

峰歯科・矯正歯科クリニック3代目院長、峰啓介です。素晴らしい患者様と素晴らしいスタッフに囲まれて、日々診療をしております。2006年から実家である当院に勤務しております。皆様に私のことをより知って頂ければ幸いです。

[経歴紹介]

  • 東京医科歯科大学 歯学部(現 東京科学大学)卒業
  • 同大学大学院咬合機能矯正学分野(矯正科)入局
  • 東京医科歯科大学大学院 卒業
  • 三重大学医学部附属病院
  • 口腔外科学講座入局
  • 現在 峰歯科・矯正歯科クリニック 院長