朝起きたら口から血が出る原因は?歯周病の可能性と対処法
執筆:峰 啓介
- 歯周病治療
歯磨きをしていて、「歯ぐきから血が出る」という経験はありませんか?
「強く磨きすぎたのかな」と思われる方も多いですが、実は歯ぐきからの出血は、歯周病の初期サインであることが少なくありません。
また、「朝起きると口の中がネバネバする」「朝起きたら口の中に血がついていた」という方もいらっしゃると思います。寝ている間に歯磨きをしているわけでもないのに出血していると、「どこから血が出ているの?」「何か病気なのでは?」と心配になるかもしれません。
今回は、歯ぐきから血が出る理由や、朝起きたときに口の中に血がある場合に考えられる原因、朝のネバネバとの関係、そして毎日のケアで大切なことについてお話しします。
朝起きたら口から血が出ているのはなぜ?
「歯磨きをしているときではなく、朝起きたら口の中に血がついていた」という場合、まず考えられるのが歯ぐきからの出血です。歯垢(プラーク)がたまって歯ぐきに炎症が起きていると、歯ぐきは刺激に弱く、出血しやすい状態になります。歯肉炎や歯周病が進行している場合には、歯磨きのときだけでなく、寝ている間に出血することも考えられます。
また、親知らずが一部だけ生えている場合などは、周囲に歯ブラシが届きにくく、汚れがたまって歯ぐきに炎症が起こることがあります。こうした場所から出血している可能性もあります。そのほか、頬の内側や舌を噛んでできた傷、口内炎など、歯ぐき以外の場所から出血しているケースもあります。
一度だけ少量の血がついていたからといって、必ず歯周病というわけではありません。しかし、朝起きたときの出血を繰り返している場合は、どこから出血しているのか確認することが大切です。
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歯ぐきから血が出るのは歯周病のサインかもしれません
お口の中にはたくさんの細菌がいます
お口の中には数百種類もの細菌が住んでいます。
「細菌がいる」と聞くと悪いイメージがありますが、細菌がいること自体は特別なことではありません。問題なのは、その細菌が歯の表面に住み着いて増えてしまうことです。
細菌は食べ物の栄養を利用して、ネバネバした物質を作りながら歯にくっつきます。
これが歯垢(プラーク)です。
血が出るのは、体が細菌と戦っている証拠
歯垢が付着したままになると、その周囲の歯ぐきは常に細菌の刺激を受けます。
もちろん私たちの体には免疫があるため、細菌の侵入を防ごうとします。
その免疫を運んでくるのが血液です。そのため炎症を起こした歯ぐきには血液が集まり、少し触れただけでも出血しやすい状態になります。
つまり、歯磨きで血が出る場所は、歯垢が残って炎症を起こしている場所であることが多いのです。
朝起きたときの血はどこから出ている?
朝起きたときに口の中に血がある場合は、まずどこから出血しているのかを確認してみましょう。
歯ぐきが赤く腫れていたり、歯磨きをしたときにも同じ場所から血が出たりする場合は、歯ぐきに炎症が起きている可能性があります。
また、奥歯や親知らずの周囲に腫れがないか、舌や頬の内側に噛んだような傷がないか、口内炎などから出血していないかも確認してみてください。「口から血が出た」と感じても、必ずしも出血源が歯ぐきとは限りません。
お口の中を確認しても出血している場所が分からない場合や、何度も出血を繰り返す場合には、自己判断で放置せず、一度ご相談ください。お口の中に原因が見当たらない場合には、症状に応じて医科での確認が必要になることもあります。
朝だけ口の中がネバネバするのはなぜ?
歯ぐきからの出血だけでなく、「朝起きると口の中がネバネバする」「朝は口臭が気になる」という方も少なくありません。この原因にも、お口の中の細菌が関係しています。
寝ている間は細菌が増えやすい
日中は唾液がたくさん分泌されているため、細菌を洗い流したり、増えすぎないように働いてくれています。しかし、寝ている間は唾液の分泌が大きく減少します。
すると細菌は活動しやすくなり、ネバネバした物質(バイオフィルム)を作りながら増殖します。その結果、朝起きたときに口の中がネバネバしたり、口臭が気になったりするのです。
一番大切なのは寝る前の歯磨き
患者さんから、「朝・昼・夜、毎回しっかり磨かないとダメですか?」と聞かれることがあります。
もちろん、毎食後に磨ければ理想です。しかし、私は一番重要なのは寝る前の歯磨きだと考えています。寝ている間は細菌が最も増えやすい時間です。
つまり、細菌をたくさん残したまま眠ることが、一番歯や歯ぐきにとって良くありません。
逆に言えば、寝る前にしっかり歯垢を落とせていれば、朝や昼は磨けたら磨く、難しい時はうがいをするだけでも違います。
忙しい毎日の中で完璧を目指すよりも、寝る前だけは丁寧に磨く習慣をつけることの方が、ずっと大切だと思っています。
→【おすすめコラム】歯ぐきが下がってきた、歯がグラグラするのは歯周病の可能性
歯ぐきの出血や朝のネバネバを防ぐために
血が出るから磨かない、は逆効果です
歯磨きで出血すると、「痛そうだから触らないでおこう」と思ってしまう方がいます。
しかし、それでは歯垢が残ったままになり、炎症は改善しません。むしろ、出血している部分ほど丁寧に歯垢を落とすことが大切です。
最初は少し出血しても、しっかり歯磨きができるようになると炎症が治まり、出血しにくくなっていきます。もちろん、強くこするのではなく、優しく丁寧に磨くことがポイントです。
ただし、出血が多い場合や痛み・腫れを伴う場合、出血がなかなか治まらない場合には、無理に磨き続けず歯科医院で原因を確認しましょう。
フロスや歯間ブラシも活用しましょう
寝る前にしっかり歯磨きをすることで、翌朝のネバネバはかなり改善できます。
ただし、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは十分に落とせません。フロスや歯間ブラシも併用すると、さらに細菌を減らすことができます。
→【おすすめコラム】歯磨きが面倒なあなたへ「不潔」だと考えてみてください
朝の出血が続く場合は歯科医院へ相談しましょう
一度だけ少量の血がついていた場合は、口の中を噛んでしまったなど、一時的な傷が原因のこともあります。
しかし、次のような症状がある場合は、歯ぐきに炎症が起きていたり、歯周病が進行していたりする可能性もあるため、一度歯科医院で確認することをおすすめします。
- 朝起きると繰り返し口の中に血がある
- 歯磨きをするたびに歯ぐきから血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 朝のネバネバや口臭も気になる
- 歯ぐきが下がってきた
- 歯がグラグラする
- 親知らずの周囲が腫れたり痛んだりする
特に歯周病は、初期には強い痛みが出ないまま進行することがあります。
「痛くないから大丈夫」と判断するのではなく、出血が繰り返されること自体をお口からのサインの一つとして考えることが必要です。
毎日の歯磨きと定期的なクリーニングが大切です
歯周病は初期には痛みがほとんどありません。そのため、気づかないうちに進行してしまう病気です。
毎日のセルフケアで歯垢を落とすことはもちろん、自分では落としきれない汚れや歯石は歯科医院で定期的にクリーニングを受けることが大切です。
三重県伊賀市の峰歯科では、EMSエアフローを用いたGBT(Guided Biofilm Therapy)の考え方に基づき、歯や歯ぐきへの負担をできるだけ抑えながら、バイオフィルムを効果的に除去するクリーニングを行っています。
歯ぐきやお口からのサインを見逃さないために
歯ぐきやお口からのサインを見逃さないために
歯ぐきから血が出たり、朝起きたときに口の中に血がついていたりする場合は、歯ぐきに炎症が起きているサインかもしれません。歯肉炎や歯周病のほか、親知らず周辺の炎症やお口の中の傷などが原因になっていることもあります。また、朝のネバネバや口臭には、寝ている間に唾液が減少し、細菌が増えやすくなることが関係しています。
だからこそ、私が大切だと思っているのが寝る前の歯磨きです。毎食後に磨ければ理想ですが、忙しい日でも寝る前は少し時間をかけて丁寧に磨き、必要に応じてフロスや歯間ブラシも取り入れてみてください。
そして、朝の出血を繰り返している、歯ぐきの腫れや口臭なども気になるという場合は、そのまま放置せず原因を確認することが大切です。自分では落としきれない汚れについては、歯科医院で定期的にクリーニングを受けることも、お口の健康を守ることにつながります。