前歯の差し歯とセラミック矯正のリスクとは
執筆:峰 啓介
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先日、女性アイドルグループ「Sweet Alley」の猪狩彩奈さんが、ライブ中に「前歯4本取れました」と投稿したことがニュースになっていました。
ライブ1曲目で突然前歯が取れてしまったとのこと。しかも今年3月にも、硬くなったパンを食べた際に同じ部分が折れ、一度作り直していたそうです。
記事だけでは詳しいお口の状態までは分かりませんが、歯科医師として考えると、前歯4本を連結して作られた差し歯が、土台となっている歯ごと、あるいは何らかの形で破損して外れたのではないかと思います。
若い方の前歯4本が差し歯になっている理由は?
今回気になったのは、若い方の前歯4本が差し歯になっているということです。
もちろん、事故や虫歯など、前歯を差し歯にする理由はいろいろあります。ですから、今回の方がなぜ前歯4本を差し歯にしていたのかは分かりません。
ただ、若い方が前歯を複数本まとめて差し歯にしているケースの一つに、いわゆる「セラミック矯正」があります。
セラミック矯正は「歯を動かす矯正」ではありません
セラミック矯正という名前が付いていますが、一般的な矯正治療とは全く考え方が違います。
通常の矯正治療では、自分の歯を少しずつ動かして歯並びを整えます。
一方、セラミック矯正では、凸凹した前歯などを削り、その上からセラミックの被せ物を入れることで、見た目上の歯並びを整えます。歯を動かすのではなく、歯を削って被せ物の形で歯並びを整えるわけです。
短期間で見た目を変えられるというメリットはあります。しかし、そのためには健康な歯を大きく削ることがあります。
一度削った歯は元には戻りません
ここが、峰歯科・矯正歯科クリニックがセラミック矯正をおすすめしない大きな理由です。
天然の歯は、一度削ってしまえば元には戻りません。削る量によっては神経の処置が必要になることもあります。
そして、被せ物は一度入れれば一生そのまま使えるものでもありません。
欠ける、外れる、土台となっている歯が折れるなど、将来的にさまざまな問題が起こる可能性があります。
今回のアイドルの方がセラミック矯正を受けていたのかどうかは分かりません。ただ、前歯が差し歯である以上、今回のように差し歯が外れたり、破損したりすることは、天然の歯にはないリスクの一つです。
前歯だけなら、数か月の部分矯正で治せることもあります
「でも、前歯の凸凹だけを早くきれいにしたい」という方もいらっしゃると思います。
実は、いわゆるセラミック矯正の対象になるような比較的軽度な前歯の凸凹であれば、前歯だけの部分矯正で治療できるケースも多くあります。症例によっては数か月程度で治療できます。
自分の歯を残したまま、歯そのものを正しい位置へ動かす。時間は多少かかったとしても、長い人生を考えれば、私はその方が良いと考えています。
→【関連ブログ】前歯が少しガタガタ…今すぐ矯正した方がいいの?
まずは自分の歯を残せるかどうか
今回の記事では「インプラントを」というコメントも寄せられていました。ただ、歯科医師としては、まず今ある自分の歯を残せるのであれば、できるだけ残すことが第一です。
もし残念ながら歯を保存できない状態になっていれば、そのときにインプラントなどの治療を検討することになります。現在はインプラントを含め、失った歯をきれいに回復する方法はいろいろあります。
それでも、最初から自分の歯を残せるのであれば、それに越したことはありません。
峰歯科・矯正歯科クリニックの部分矯正について

峰歯科・矯正歯科クリニックでは、前歯の凸凹や隙間など、範囲の限られた歯並びのお悩みに対して、部分矯正にも対応しています。全体の歯並びを大きく変えるのではなく、気になる部分だけを整えることができるため、健康な歯を削らずに見た目を改善したい方に選ばれています。
部分矯正が適応できるかどうかは、歯並びの状態や噛み合わせによって異なります。まずは現在の歯並びを確認したうえで、部分矯正で対応できるのか、あるいは他の方法が適しているのかを含めてご提案します。
健康な歯を削る前に、できることがあります
今回の方がセラミック矯正を受けていたのかどうかは分かりません。しかし、若いうちから前歯が差し歯になっていると、長い人生の中で、外れる、壊れる、作り直すといった問題と付き合っていかなければならない可能性があります。
歯並びをきれいにすること自体は、とても良いことだと思います。ただ、そのために健康な歯を削ってしまうのか。それとも、自分の歯を動かして整えるのか。同じ「きれいな歯並び」でも、そこに至る方法は全く違います。
前歯の歯並びが気になる方は、歯を削ってしまう前に、部分矯正を含めてどのような方法があるのか、一度ご相談いただければと思います。