知覚過敏の歯磨き粉はどう選ぶ?歯科医が成分と磨き方を解説
執筆:峰 啓介
- 虫歯治療
知覚過敏で歯がしみるのはなぜ?
知覚過敏とは、冷たいものを飲んだときや歯ブラシが触れたときなどに、歯が一時的に「キーン」としみたり、痛みを感じたりする症状です。健康な歯では、歯の内側にある「象牙質」はエナメル質や歯茎によって守られています。しかし、何らかの原因で象牙質が露出すると、外からの刺激が歯の神経に伝わりやすくなり、知覚過敏の症状が現れることがあります。
象牙質が露出する原因には、歯茎が下がる、強い力で歯を磨く、歯ぎしりや食いしばりなどによって歯に負担がかかるといったことがあります。そのため、知覚過敏は単に「しみる部分に歯磨き粉を使えばよい」というものではなく、なぜ症状が起きているのかを考えることも大切です。
歯磨き粉は何がいい?知覚過敏の方へのおすすめ
三重県伊賀市にある峰歯科・矯正歯科クリニック 院長の峰啓介です。
「歯磨き粉は何を使えばいいですか?」というご質問は、日頃からよくいただきます。
先日、歯磨き粉市場で10年連続1位というニュースを目にしました。
知覚過敏に特化した商品として、多くの方が知っている歯磨き粉です。
確かに、歯磨き粉の中で「予防」以外、特に知覚過敏にフォーカスした商品はそこまで多くありません。
歯磨きで本当に大切なこと
私自身は「歯磨き粉を必ずしも使わなければいけない」とは考えていません。
以前のブログでもお伝えしましたが、歯磨きで最も重要なのは、
「何を使うか」よりも、
「どう磨くか」です。
どれだけ高価な歯磨き粉を使っていても、磨き方が不十分であれば、汚れはしっかり落ちません。
逆に、正しく丁寧に磨けていれば、歯磨き粉に強くこだわりすぎる必要はないと考えています。
そのため、患者さんから歯磨き粉について質問をいただいた際には、「基本的には好きなもので大丈夫ですよ」とお伝えすることが多いです。
知覚過敏がある場合はしっかり選定を
ただし、例外もあります。それが、知覚過敏の症状がある場合です。
冷たいものがしみる、歯ブラシが当たると痛い、といった症状がある方は、知覚過敏用の歯磨き粉を使用することで、症状が軽減することがあります。
その際には、シュミテクトのような知覚過敏に特化した歯磨き粉についてお話しすることもあります。
歯磨き粉は「補助」と考えることが大切です。歯磨き粉は、あくまで補助的な役割です。
実際に歯垢を落としているのは歯ブラシであり、歯磨き粉はそこにプラスアルファの効果を加えるもの、というイメージになります。そのため、
- まずは磨き方を見直すこと
- 症状に合わせて歯磨き粉を選ぶこと
が大切になります。
知覚過敏用の歯磨き粉は「成分」を確認しましょう
知覚過敏用の歯磨き粉を選ぶときは、商品名だけでなく、どのような成分が配合されているかを確認してみましょう。知覚過敏に対応した歯磨き粉には、症状を和らげるための成分が配合されているものがあります。
硝酸カリウム
歯の神経に伝わる刺激を抑え、知覚過敏による「しみる」症状を和らげる目的で配合される成分です。
乳酸アルミニウム
象牙質にある細かな管(象牙細管)を封鎖することで、外部からの刺激が歯の神経へ伝わりにくくなるよう働きかけます。
フッ素
フッ素には歯の再石灰化を促し、歯質を強くする働きがあります。知覚過敏だけでなく、毎日の虫歯予防という点でも確認しておきたい成分です。
知覚過敏用の歯磨き粉にはさまざまな商品がありますが、「どの商品が一番良いか」ではなく、自分のお口の状態や症状に合ったものを選ぶことが大切です。
知覚過敏があるときの歯磨きのポイント
知覚過敏が気になるときは、どの歯磨き粉を使うかだけでなく、毎日の歯磨き方法を見直すことも必要です。「しっかり汚れを落とそう」と力を入れて磨いている方もいますが、強い力でゴシゴシ磨き続けると、歯や歯茎に負担がかかり、知覚過敏の症状につながることがあります。
歯ブラシは強く押しつけず、軽い力で小刻みに動かすことを意識しましょう。また、しみるからといってその部分を避けてしまうと、プラーク(歯垢)が残り、お口の環境が悪化する原因になります。
知覚過敏用の歯磨き粉も、歯磨き粉だけに頼るのではなく、正しいブラッシングと組み合わせながら使用することをおすすめします。歯ブラシの硬さや磨き方が自分に合っているか分からない場合は、歯科医院で実際の磨き方を確認してもらうのも一つの方法です。
歯がしみる=知覚過敏とは限りません
「冷たいものがしみるから知覚過敏だろう」と思われる方も多いですが、歯がしみる原因は知覚過敏だけではありません。虫歯や歯のひび割れ、詰め物・被せ物の不具合、歯の神経の炎症などでも、冷たいものや温かいものがしみたり、痛みを感じたりすることがあります。
そのため、知覚過敏用の歯磨き粉を使い続けても症状が改善しない場合は、自己判断で長期間様子を見るのではなく、一度歯科医院で原因を確認することをおすすめします。
特に、何もしていなくても痛む、痛みが長く続く、温かいものでも強くしみる、噛んだときに痛むといった症状がある場合は、知覚過敏以外の原因が隠れている可能性もあります。
まずは「なぜ歯がしみているのか」を確認することが、適切なケアや治療につながります。
知覚過敏が改善しない場合は歯科医院へ
知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、歯磨き方法を見直したりしても症状が続く場合は、歯科医院へご相談ください。歯科医院では、まず歯がしみている原因を確認し、知覚過敏なのか、虫歯など別の問題があるのかを診査します。
知覚過敏と判断された場合には、お口の状態に応じて、しみる症状を抑えるための処置を行うことがあります。
峰歯科・矯正歯科クリニックでは、知覚過敏の症状に合わせて、炭酸ガスレーザーを使用した処置も行っています。
歯科用レーザー「オペレーザー PRO-X」を導入しており、知覚過敏をはじめ、口内炎や外科的な処置などにも活用しています。ただし、歯がしみる原因は患者さんによって異なり、すべての方にレーザーによる処置が適しているわけではありません。まずは診察で原因を確認し、お口の状態や症状に合わせて処置方法を検討しています。
炭酸ガスレーザーを使用した処置については、当院の公式Instagramでもご紹介しています。実際の処置の様子が気になる方は、あわせてご覧ください。
→ 【公式Instagram】炭酸ガスレーザーを使用した歯科治療についてはこちら
私(歯科医)が考える知覚過敏と歯磨き粉
歯磨き粉については、「基本的には好きなもので問題ない」というのが、私自身の考えです。
ただし、知覚過敏などの症状がある場合には、配合されている成分を確認し、ご自身のお口の状態に合った歯磨き粉を選ぶことで、症状の軽減につながることがあります。
一方で、大切なのは歯磨き粉だけに頼らないことです。毎日の正しい歯磨きを基本として、それでもしみる症状が続く場合には、「知覚過敏だから」と自己判断せず、原因を確認することが大切です。